『エルマーとりゅう』は、『エルマーのぼうけん』に続く冒険物語です。
どうぶつ島を脱出したエルマーとりゅうでしたが、嵐に遭い、カナリヤたちが暮らす不思議な島「カナリヤ島」に不時着。
そこで二人を待ち受けていたのは──。
あらすじ『エルマーとりゅう』
どうぶつ島を脱出し、エルマーの家を目指して旅を続けるエルマーとりゅう。しかし、嵐に巻き込まれ、不時着したのは逃げたカナリヤたちが暮らすカナリヤ島でした。
そこで、かつて飼っていたカナリヤ・フルートと再会したエルマーは、島を悩ませる「しりたがりびょう」という病気の存在を知ります。
病を治すべく、王さまカン十一世のもとへ向かうのでした。
登場人物
エルマー
物語の主人公。9歳の少年で、知恵と勇気を持ち合わせている。かれき町出身。
りゅう
エルマーが救出したりゅうの子ども。黄色と空色の縞模様の美しいりゅう。ツノは真っ赤で、特別きれいな金色のハネを持つ。好物はみかんの皮。
かもめ
みかん島の波打ち際にいた大変歳をとったかもめ。かれき町に住んでいたことがある。
フルート
カナリヤ島で暮らすカナリヤ。3年前はエルマーに飼われていた。目の上にくろいまゆげ、翼に黒い羽が一本ずつ混じっているちょっとかわったカナリヤ。
カン十一世
カナリヤの王さま。しりたがりのびょうきが重くなって瀕死。普通のカナリヤとそう変わらないが、他のカナリヤよりも少し大きく、はねがふわふわしている。
女王様
カン十一世のお妃。
カン一世
人間と渡って来て、人間が去った後も妃とカナリヤ島に暮らし続けた。島にやってくる渡り鳥に、かごから逃げ出したカナリヤにカナリヤ島に来てもらよう伝えていた。
名言で読む『エルマーとりゅう』
野蛮な動物たちから無事にりゅうを救出したエルマー。念願叶って、どうぶつ島を後にし、空高く飛び立ちます。
「エルマーくん、きみはぼくをたすけに、はるばる、どうぶつ島まできてくれたんだね。かんげきしました。なんと、おれいをいったらいいんだろう。」
『エルマーとりゅう』P2
りゅうはお礼に旅へ誘いますが、10日も家を空けているエルマーは、家まで送り届けてもらうことにします。
しかし、エルマーもりゅうも方向が分からず困り果て、かもめに助けを求めました。
「わかりますとも!」
と、としとったかもめは、かたいっぽうのはねで、うみのむこうのほうをさしながらいいました。
「このほうこうに、まっすぐにとんでいけば、そこへいきますよ。」
『エルマーとりゅう』P12
かれき町は、みかん島から西北西の位置し、随分と遠いことも判明しましたが、出発の準備をします。
リュックサックの中には、みかんのほかに、りゅうをたすけにいったときつかった、いろいろなものの、のこりがはいっていました。
ももいろのぼうつきキャンデーが、七本。(これは、また、きっとやくにたつとおもって、のこしていたのです。)わゴムのたばが、はんぶんばかり。チューインガムが三まい。よくきれるジャックナイフ。それに、からのアサぶくろです。もちろん、いつでもやくにたつように、エルマーのポケットには、じしゃくがはいっていましたし、足には、くろいゴムながぐつをはいていました。
『エルマーとりゅう』P14
空の旅は順調とはいきませんでした。
空が灰色に染まり、嵐が迫る気配を感じた頃には、冷たい雨と雷が二人を襲い、強風に流されるまま進路を見失います。
「はねが、だんだんおもくなってきて、うまくとべないよ。それに、のくは、かみなりが、だいきらい。」
『エルマーとりゅう』P20
激しい嵐に疲れ果て、ついには力尽きて海へ落ちてしまう二人。
エルマーは、目をとじて、ちからいっぱい、りゅうにしがみつきました。それから「ないちゃいけない、うちのことも、おもいだしちゃいけない」とじぶんにいいきかせました。
「ごめんね。やくそくが、まもれなくなっちゃって。」
りゅうは、とぎれとぎれに、いいました。
「い、いいんだよ。き、み、だって、いっしょう、けんめい、やったんだもの。」
と、エルマーは、べそをかきながら、こたえました。
『エルマーとりゅう』P22
しかし奇跡的に浅瀬に落ち、命拾いします。
水位が下がるのを待ちつつ朝を迎えると、霧の向こうに小さな緑の島が現れました。
そこは、かつてエルマーが飼っていたカナリヤ・フルートが住む「カナリヤ島」。逃げ出したカナリヤたちの住処でした。
「ほら、あなたのおかあさんが、よびりんがなったので、ドアのほうへいったでしょう。そのすきに、あなたが、かごのとをあけて、わたしをにがしてくれましたね。あの日に、ここまで、どんてきたのです。ここは、にげたカナリヤが、みんなすんでいるところなんですよ。わたしたちは、この島を、カナリヤ島ってよんでいます。」
『エルマーとりゅう』P50
エルマーは、フルートとの再会を喜びますが、どうやらりゅうがカナリアを食べてしまうことを心配しています。
りゅうがカナリヤを食べないことがわかると、続々とカナリヤが島中で鳴き始めました。
エルマーはおかあさんがフルートを心配していたことを伝えると、こんなことを言いました。
「けっこうやっていますよ。でも、わたしは、島のびょうきに、かかりはじめたらしいのです。」
と、フルートが、いいました。
「島のびょうきって、なんだい。」
「ばかばかしいはなしだってことは、わかってるんですけど。とにかく、島じゅうが、しりたがりのびょうきになってしまて、とくに、としとった王さまのカンは、もうまるで、しにそうなんですよ。」
『エルマーとりゅう』P54
……しりたがりのびょうきとは?
エルマーとりゅうの冒険は、ここからさらに新たな展開を迎えます。
詳細はぜひ本書をご覧ください!
感想
『エルマーとりゅう』は、前作とは異なった形でエルマーの優しさを知ることができ、それが読者の心を惹きつけます。
今回の物語では、困難な状況に直面しながらも、エルマーとりゅうが互いを思いやる姿が特に印象的でした。
嵐に巻き込まれて絶望しかける場面では、エルマーが涙をこらえながらりゅうを励ます姿に胸を打たれます。
さらに、カナリヤ島というユニークな設定や「しりたがりびょう」という謎めいた病気のエピソードは、子どもにも大人にも考える余地を与えてくれる面白い要素です。
冒険だけでなく、物語全体から友情や信頼の大切さを学べるのがこのシリーズの魅力だと改めて感じました。
良かったら、『エルマーのぼうけん』の記事もご覧ください。
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